成田山九頭龍寺の縁起

成田山九頭龍寺

縁起

成田山福井別院九頭龍寺は、千葉県、大本山成田山新勝寺の別院です。昭和33年、大野伴睦先生が北陸地方の熱誠なる不動尊信徒の懇請を受けて此の地に仮の堂宇を建立し、勧請した成田山御本尊不動明王の御分霊を奉安致しました。その後、不動尊信仰が弥々高まり昭和39年に現本堂を建立。翌40年に本堂落慶入佛式を厳修し、ここに北陸地方唯一の成田山別院が誕生したのです。
爾来、御本尊不動明王の御加護に与った多くの御信徒が群参し、殊に昭和50年、福田一先生を総裁に成田山奉賛会が再興され、境内の整備に邁進。昭和51年、憩いの場として信徒会館「祥雲閣」建設を皮切りに、内仏殿の造営、十二支八体仏の奉安、交通事故根絶への願いを形とした「交通安全の鐘」を擁する鐘樓堂の建立、御信徒の息災延命を冀い延命地蔵尊を造立等、その都度熱誠御信徒の戮力協心を受けて七堂伽藍を整え、以て寺門興隆に努めて参りました。斯くして今や確固たる北陸鎮護不動尊信仰の一大道場として日々多くの御信徒皆様のお詣りを頂いております。

 

ご本尊不動明王

画像代替テキスト

真言密教では過去、現在、未来のあらゆる現象(森羅万象)は大日如来の働きの現れであり、宇宙そのものが大日如来の現れであると考えます。そして大日如来が私達、生きとし生けるもの即ち衆生を救うため姿を変えられたのが、ご本尊不動明王であると説きます。

成田山で毎朝お唱えしている「仏説聖不動経」の中にも「無相の法身虚空と同体なればその住處なし 但し衆生心想の中に住したもう 衆生の意想各々不同なれば 衆生の意(こころ)に随って而かも利益をなし 求むる所円満せしめたもう」と説かれています。
これは、ご本尊不動明王は宇宙と同体であり、私達の心の本質も宇宙と同体であるが故に、ご本尊は常に私達の心に住しておられ、心の中の願いをかなえて下さると言う意味であります。
さて、私達の心の本質は宇宙と同体であると申しましたが、その反面 どんな人でも、煩悩(迷いの心)を持っていて、この心がすべての苦しみのもとになっています。
不動明王は恐ろしいお姿ですが、これは私達の煩悩を厳しい目で見つめ、右手に持たれた智恵の剣で打ち砕き、どのような人でも左手の索(なわ)で救いの世界へ導いてくださることを意味しているのです。

五大明王

画像代替テキスト
大本堂内正面の両脇には、降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉明王をお祀りしておりますが、ここにご本尊不動明王を加えたものを五大明王と申します。 密教では曼荼羅を大変重要なものと考え、その曼荼羅の中心に大宇宙を象徴する大日如来を、曼荼羅の東、南、西、北には、その徳を4方向に分けて阿閦、宝生、弥陀、不空成就の各如来が配置されています。ご本尊不動明王は、大日如来の徳で我々衆生を救い、各明王は曼荼羅の東、南、西、北に配置された各如来の徳で私達を導いて下さいます。
このように、当山の本堂は、曼荼羅の思想を基にして構成されております。